再就職活動
A税理士事務所を退職し、背水の陣で挑んだ1997年(平成9年)の税理士試験を終えた私は、8月から早速再就職活動を開始しました。
採用面接の現場では、初めてこの業界に職を得ようした時のように差別的な発言はあまりありませんでしたが、なかなか採用には到りませんでした。
なぜか?
その時の私はといえば
33歳。税理士事務所での実務経験4年半。
税理士試験3科目合格で、あと2科目もリ−チがかかっている
この条件では採用側から「使いにくいヒト」と思われても不思議ではありません。
年齢の割りにベテランというほどの経験はない。
さりとて受験経歴を見ると知識だけはありそう。
つまりは中途半端なんですね。
8月に再就職活動を開始し、次の職場であるB税理士事務所の採用が決定したのは12月でした。
その間、多くの税理士事務所に伺い、面接を受けました。
「税理士さん、こんにちは!」という企画番組が作れるのではないかと思うぐらい、様々な税理士の方にお会いしました。
今となってはある意味でよい経験をさせていただいたと思っています。
父の急死
B税理士事務所での勤務開始は年明けの1月5日からでした。
その少し前の12月中旬には、例年通り税理士試験の結果を受け取りました。
今回は5科目に合格しているはずなので、これまでのような定型封筒ではなく、合格証書の入った定型外封筒がくるはずと期待していたのですが、届いたのはいつもと同じ定型封筒でした。
結果は【消費税法合格、法人税法不合格】
でも、この時だけは全くショックを受けませんでした。
退職して受験勉強に打ち込めたことで、自分自身の成果としては十分なものがあったからです。
試験はミズモノですから、たまたま今回が不合格になっただけ。
翌年には必ず合格できるという確固たる自信を持っていたのです。
年が明けてB税理士事務所での勤務が始まった2週間後、父が急死しました。
全く想像していないことでした。
深夜に突然吐血して救急車で運ばれ、翌日病院で息をひきとってしまったのです。
生真面目で口下手ですが、家族思いの父でした。
両親に迷惑をかけてばかりの私は、父から厳しいことを何度も言われましたが、孫である私の息子のことを目の中に入れても痛くないほど可愛がってくれました。
本当に命とは、はかないものですね。
こんなにもあっけなく人はこの世からいなくなってしまう。
一日一日を大切に生きようと改めて強く思いました。
ついに合格!
1998年(平成10年)の記憶といえば、父の急死に始まり、B税理士事務所での新しい仕事のことしか思い出せません。
それほど、生活環境が大きく変わった一年でした。
A税理士事務所では内勤でしたが、B税理士事務所ではお客様のところへ伺うという仕事が加わりました。
それまでの私は、ほぼペ−パ−ドライバーだったのですが、毎日自動車に乗り、遠方へも出かけるようになりました。
受験勉強の方は、記録によると試験前の3ヶ月位は勉強していた様なのですが、具体的な記憶がほとんどありません。
その年の12月、ついに税理士試験の合格証書を手にすることができました。
長きにわたる税理士受験生活がやっと終わりました。
「3足のわらじ生活」からの卒業です。
「これで、仕事に邁進できる」というのが率直な感想でした。
さて、無事に合格できたところで、
「シングルマザーの税理士奮戦記・受験編」は完結です。
次回からは「開業編」がスタートいたします。
これまで同様、お付き合いをいただけましたら幸いです!